Up ペイしない副業の開拓 作成: 2006-08-17
更新: 2006-08-17


    大学の金策を課題として立てる場合,最初に考えねばならないことは,大学に副業を生む構造があるかどうかということだ。 この基本的なところを明らかにしないで,副業づくりを思いつきでやってしまう。 特に,「この副業は,大学の本分に関わるどのような損害とのトレードオフになっているか?」という考え方にならない。


    大学は研究と教育を本分とする。
    研究は金を生まない。金を得ることを考えたら,研究でなくなる。 外から研究費がつくことは,大学に金が入ってくることではない──たかだか,大学内部での経費配分に余裕が出るという意味の関接収入。

    教育も,商売にはならない。 実際,大学は国の補助金がなければ,やっていけない。私学も同様。 教育は国家事業であるという認識があるので,国は補助金を出している。
    ちなみに,これは介護とか医療の場合と同じ。介護や医療は,国が大部の金を負担するという形で成り立っている。

      塾や予備校は,「教育は商売になる」の例に見えるかも知れない。 しかし,塾・予備校は,学校のシステムの隙間で商売しているに過ぎない。


    大学の副業を発想する基本形は,「正規学生の他にも学生をつくって授業料をとる」。 例えば,公開講座,授業公開講座。
    しかしこれで行くなら,さらに進んで,塾や予備校をやってもいいわけだ。
    ──なぜしないか?

    そんなことをやるために大学があるのではない。本分をわきまえ,自分のしなければならないことをきちんと,そして精一杯,行え。」があるからだ。
    国は,この考えで大学を運営している大学に国の金を回す。 そうでない大学に対しては,渡した金を返させ,相応に処分する。──これが本当。

    しかし,法人化で大学は,「国がバイトを奨励している」「副業を開拓したら評価委員会/文科省から褒められる」のような受け取り方をしているかのようだ。 大学には自立採算があり得ないのに,体裁的に緊縮財政を課している行政にも責任はある。それでもやはり,いまの大学はかなりおかしくなっていると見るのが適当である。