Up デモクラシーとコミュニケーション 作成: 2006-01-28
更新: 2006-01-28


    組織のコミュニケーション改革の方向性で最も重要なのは,デモクラシー。

    デモクラシーにおいては,高いインテリジェンスと個の多様性に対するしっかりした理解が,構成員に求められる。この要件のクリアはやさしいものではないので,デモクラシーの実現は容易ではない。実際,依然ほとんどの組織が,旧い組織風土を重く引き摺っていて,デモクラシーとは距離をおく。

    コミュニケーションに対するデモクラシーの立場は,解発 (release) と活性化。
    デモクラシーは,<智>は多様な個の上にあるとする。(「賢者・愚者」の図式──特に,サヨクの「前衛・大衆」 の図式──を退ける。) したがって,<智>を汲むには,個の多様性が解発・活性化される必要があるというわけだ。

    このデモクラシーの立場は,従来型の組織では非常識なものとなる。従来型の組織は「賢者・愚者」の図式につく。コミュニケーションは賢者が制御すべきものになる (制御しなければ,愚者の愚行を招いてしまう!)。
    この意味では,大学も従来型組織。

    しかし,時代の変革期では,「賢者」の化けの皮がはがれる。「賢者」が変革期の行動に失敗するからだ。「賢者」は安定期のもの。変革期では,個の多様性から<智>を汲むというデモクラシーの戦略が機能する。

      変革期では,「賢者」が「賢者」を続けるために独裁に向かうか,デモクラシーが興るか,その2つのせめぎ合いになる。そして,デモクラシーの素地が貧しい組織では,独裁に向かう。

    コミュニケーションの解発と活性化は,「呼びかけ」「奨励」といったレベルの問題ではない。「解発・活性化」のインフラや条件の整備,体勢づくりを,合理的/科学的に行うという問題である。──通信·情報技術の活用,議事法の導入,ワーキンググループ (委員会) の再編,コミュニケーション・ポリシーの整備,といったことが主題になる。