Up | 兵士 : 要旨 | 作成: 2023-07-30 更新: 2023-07-30 |
しかし「兵士の数」は,「性能」まで考えないと軍事力の意味にならない。 「戦闘機の数」を軍事力にできない──「戦闘機」といっても,ポンコツから最新鋭まである──のと同じである。 「性能」のことばには「優劣」の含蓄があるので,「仕様」のことばを用いるとしよう。 兵士は,軍隊で養成される。 よって,兵士の仕様は,軍隊の<兵士養成カリキュラム>が定めていることになる。 これは,《兵士の仕様は,組織幹部が兵士をどんなものと考えているかにかかっている》ということである。 軍隊を強くする方法は,先端テクノロジーの導入である。 新しいテクノロジーを兵士に与えることは,兵士の仕様を更新することである。 新しいテクノロジーを導入し兵士にこれを与えるのは,組織幹部である。 これは,《兵士の仕様は,組織幹部のテクノロジーに対する感度・感性にかかっている》ということである。 日本の軍事組織は,これまで実践的でなかったので,「役所」が成長の形になった。 よって仕事が,役所仕事──<前例に寄せる>や<責任を取らせられないようにする>や<忖度する>──になる。 そうすると,兵士養成カリキュラムは旧態依然となり,テクノロジーは旧態依然となる。 軍事オペレーションの考え方も,旧態依然となる。 日本はいま,「安保」で慌てている。 軍備・軍事組織の旧態依然に向き合わされる羽目になったからである。 そしてこの中に,兵士仕様の旧態依然がある。 一方,ひとはだいたい,旧態依然が好きである。 ひとは,旧態依然に癒される。 ということで,日本の兵士仕様はさてどうなっていくか? 念のため: 「兵士の仕様」は,良い悪いの話ではない。 生態系の話──「この系では,兵士の仕様がこの形に収まっていく」──である。 日本ではこれまで,自衛隊が「災害時出動」の文脈で大衆に受け入れられてきた。 兵士仕様も,これに満足するようになる。 しかしひとはいま,これでだいじょうぶかのように感じ出している。 ちなみに,なぜ災害時に自衛隊が出動なのか? 一般に,大災害時には軍隊が出動する。 これは,災害時救出救護要員の仕様 ・死ねる覚悟 ・人命救出救護技能 兵士は,その仕様を以て,災害時救出救護要員を兼ねるのである。 札幌雪まつりでは,自衛隊が雪運びに出動する。 雪運び要員の仕様は,自衛隊員の仕様に含まれる。 そこで,出動要請となるわけである。 |