Up 「気温変動の平均」 作成: 2021-12-13
更新: 2022-08-30


    地球の絶対平均気温は,定義はできるが,求められないし,そもそも意味をもたないというものであった。
    実際,欲しい情報は,地球の「平均気温」ではなくて「気温の変動」である。


    地球の気温変動──「時点 T0 から T1 の間の気温変動」──は,測候所の気温データをもとにするときは,つぎのように求めている:
      各測候所に対し,つぎの作業をする:
      1. T0 から T1 までの平均気温を出す。
        ──これを気温の基準とする。
      2. 気温の変動を,<基準からの偏差の変動>グラフとして表す。

      つぎに,各地域に対し,つぎの処理をする:
      1. 地域の各測候所が出した<基準からの偏差の変動>グラフを,平均する。
      2. これを,この地域の気温変動とする。

      この「地域」に日本をあてはめれば「日本の気温変動」となり,世界をあてはめれば「地球の気温変動」となる。
      気温変動グラフの読み方


    こうして作成される「地球の気温変動」は,かなり怪しいものになる。
    測候所は,ひどく偏在している。
    即ち,人が集中している所 (気温が上昇しやすい所) に偏っている。
    そして,測候所のうちのどれほどが信用できるものか,という問題がある(註1)

    それはともかく,こうして得られる気温変動グラフは,縦軸の目盛りが 0.1度刻みのものになる。
    実際,唱えられている「地球温暖化」は,「50年で1度上昇,100年で2度上昇」といったレベルのものである。
    ひとを脅すには指数関数的上昇のグラフが欲しいところだが,CO2 は濃度が2倍になると気温上昇度も2倍となるようなものではない。


    マスコミや学者が言っている「地球の平均気温が上がった/下がった」は,このようなものである。
    「平均気温が上がった/下がった」は,地球ではなく,いくつかの測候所・地域のことである(註2)


    註1.   測候所は,(1) 気温を正しく計測でき,かつ (2) 施設を管理できる場所に置かれる。
    条件 (1) は,風通しがよいということであり,これを満たす地勢は,風を遮るもののない平地である。
    条件 (2) は,ひとの活動領域の中ということである。

    測候所を山の中に設けるのは,意味がない。
    風が通らないからである。
    そこで計測されるのは,草木の茂みの中の気温──極々局地的な気温──である。

    地球は地表の 70.8 % が海であるから,「地球の平均気温の変化」は海上の気温の変化が計算に入ってなければ意味がない。
    しかし,海上に測候所を設置・運用することは,できることではない。

    「平均気温が上がった/下がった」は,ひどく偏っていてそして限られた場所の出来事である。 ──このことを,しかと認識せよ。


    註2. 「地球温暖化」の証拠として示せるのは,この程度のものである。

    自分のことをよく見せたいのは,人情である。
    学者も同じで,自分のやっていることをよく見せたい。
    そこで,自分の仕事の貧弱に見えるところは,隠蔽する。
    しかしこれでは足りなくて,統計を作為し,牽強付会し,成果を誇張する。
    実際,今日の学術界は,これをしないと研究費を獲れない──業績をつくれない──システムになっている。

    「学者」をやったことのある者は,「そんなもんだ」を知っているので,学者の言うことに対しては適当に眉に唾をすることができる。
    しかし大衆は,騙される一方になる。
    本論考は,しばしば学者の等身大に言及するが,それは少しは「教育」のことを思うからである。