Up 台風の構造 作成: 2023-06-04
更新: 2023-06-04


    気象学は,台風の構造をつぎのように捉えている:
tenki.jp から引用

    この絵は,つぎの表現が間違いである:
    • 風と雲が一緒くた。
      風の流れにおいて「スパイラルバンド」なるものは存在しない。
      台風の上昇流は周囲の空気を吸い寄せ,そしてその周囲の空気は上昇螺旋を描いて上昇流に吸い寄せられるのである。
    • 台風の目の上昇気流が,天辺(てっぺん)のところで旋回が逆向きに。
      これは,旋回の角速度が天辺で小さくなることの見かけの効果 (錯視) を,そのまま描いているのである。
      旋回の反時計回りが時計回りに変わるわけではない!
      反時計回りの旋回を保ったまま,中心から外へ広がっていく。
      そしてこの移動に雲の生成が伴い,つぎのような衛星画像となるわけである:
気象庁 から引用
    • 台風の目の中に「下降気流」。
      これは物理的にあり得ない。
      台風の上昇流渦柱は,低気圧と同じ。
      上昇流と帳尻を合わせる下降流の起点は,台風天辺の傘の外側に位置することになる。
    • そして小さいことだが,「スパイラルバンド」に描かれている橙色の上向き矢線。
      「旋回しながら上昇」を表そうとして描いているのだろうが,このような空気の流れは存在しない。 (電流コイルの断面図を想起すべし。)


    台風は,上昇流の渦柱であり,その構造は低気圧に同じと考えればよい。
    風や雲生成が一様でないのは,「波動」のダイナミクスである。 ( 波とは何か )
    一様でないところを捉えてそれを「台風の構造」にするのは,間違いである。


    なお,「台風の構造図」については,水平尺度に対し垂直尺度が極端に大きくとられることに,注意すべし。
    実際,台風は薄っぺらいので (直径 300〜1000km に対し高さ 10〜15km ほど) ,水平尺度と垂直尺度を同じにしたら要領を得ない図になってしまうのである。