Up 北海道開拓──アイヌ漁猟採集文化の終焉 作成: 2017-03-13
更新: 2017-03-14


    場所は,明治政府になって,廃止となる。
    生活を場所に合わせてきたアイヌは,場所が無くなったら自給自足的漁猟採集生活に戻るかというと,そうはならない。
    和人に依存した生き方をしていくようになる。
    ──<惰性>のダイナミクスとして,こうなる。

    自給自足的漁猟採集生活をある程度保ってきたアイヌも,入植者が自分の領分の中に入ってくるようになり,そして土地所有・資源管理の規則が政府によって定められるようになると,その生活を続けられなくなる。

    こうしてアイヌは,「同化」の生き方を選ぶしかなくなる。

    そして政治が,この方向を固定・促進していくことになる:
      開拓使「旧土人賜物並禁目」, 1871-10-08
     『開拓使事業報告附録 布令類衆 上編』, 1885, p.448,449.
    一  開拓致候土人へハ居家農具等被下候ニ付 是迄ノ如ク死亡ノ者コレ有候共 居家ヲ自焼シ他ニ転住等ノ儀堅可相禁
    一  自今出生ノ女子 入墨等堅可禁事
    一  自今男子ハ 耳環ヲ著候儀 堅相禁シ 女子ハ暫ク御用捨相成候事
    一  言語ハ勿論文字モ 相学候様可心懸

      開拓使「旧土人教化諭達」, 1876-09-30
     『開拓使事業報告附録 布令類衆 上編』, 1885, p.449.
    北海道旧土人 従来ノ風習ヲ洗除シ 教化ヲ興シ 漸次人タルノ道ニ入シメンカ為 辛未 [1871] 十月中告諭ノ趣モ有
    既ニ誘導ヲ加候処 未タ其風習ヲ固守候者有之哉ニ相聞
    旨趣貫徹不致 不都合ノ次第候
    元来誘導教化ハ開明日新ノ根軸ニ候処 今ニ右様陋習有之候テハ 往々智識ヲ開キ 物理ニ通シ 事務ヲ知ラシメ 均ク開明ノ民タラシムノ気力ヲ振作スルノ妨害ト相成 忽ニスヘカラサル儀候条
    就中男子ノ耳環ヲ著ケ 出生ノ女子入墨致等堅不相成旨 父母タル者ハ勿論 夫々篤ク教諭ヲ尽シ 自今出生ノ者ハ尚更厳密検査ヲ遂ケ 此風俗ヲ改候様 予防方法相立 取締可
    而シテ自今万一違犯ノ者有之候ハ、不已厳重ノ処分可及筈ニ付 時々詳細具状可致ハ勿論 予テ能此懲罰アルヲ戒置へシ