Up カラスの知能 作成: 2019-05-17
更新: 2019-05-18


    カラスは賢いと言われる。
    さて,どんなふうに?


    (1) 道具
    《生き物Xが,現状を状況Sに変えるために,事物Mに対し行動Aを起こす》
    ひとは,この関係が<直接的でない>と思えるとき,Xを賢いと思う。
    そして,特にMが人であるとき,Xをたいそう賢いと思うことになる。

    カラスの賢さの例としてよく出てくるものに,<クルミを道に置いて車に割らせる>がある。 (わたしも目撃したことがある。)
    これは,走っている車を道具にした<道具を使う>である。

    カラスの<道具を使う>のなかには,人に対し自分から積極的にはたらきかけるところの<人を道具として使う>も入ってくる。
    例えば,経験から学習して,<餌をねだる>──餌を欲している自分をアピールする──をするようになる。

     比較: スズメは,<人から餌がもたらされるのを待つ>は学習できるだろうが,<人に餌を持って来させる>までにはいかない。

    <人を道具として使う>は,<人とのコミュニケーション>である。
    生き物はそれぞれに賢く見えるのであるが,<人とのコミュニケーション>能力を以て賢く見えるものは,野性種のものではそんなにいないことになる。

     註: 人が飼っている生き物の<人とのコミュニケーション>と野性種のそれとの違いは,後者は人を信用しないことである。 人に対しては,警戒心を解かず,<逃げようと思えば逃げられる距離・体勢>をとることになる。


    (2) 同定
    知能を認知科学ふうに考えるひとは,人が物事を同定するように生き物Xが同定するのを見て,Xを賢いと思う。
    カラスが人の顔を覚えるとか,パターンや色や記号を識別するといったことを捉えて,カラスを賢いとするわけである。

    しかし,<同定>はどの生き物も巧みに行うものである。
    実際,これは<生きる>の含意である。
    生き物の種によって<同定>のタイプが違うということである。

    実際,このときの「カラスは賢い」は,「人が行う識別をカラスにも行わせることができる」である。