Up | カラス個体は紫外線で識別できる? | 作成: 2023-06-27 更新: 2023-07-03 |
あるいは,毛の抜け落ちパターンで区別できる。 逆に,動いてくれないとわからない。 顔を見るだけではわからない。 鳥一般がそうだが,ハシボソガラスには表情筋がない。 これは,顔の造作に違いが現れにくい理由になる。 個体を顔の造作で見分けることが困難なのは,ハシボソガラス自身も同様と考えられる。 では,ハシボソガラスは主に何によって個体を識別しているのか? からだ・顔の模様──ありそうなのはこれである。 しかし,ハシボソガラスは体全体が黒である。 模様なるものは認められない。 そこで模様は,「人間には見えない模様」ということになる。 つまり,ハシボソガラスには人間の可視光以外の光 (電磁波) が見える──と想像される。 これを確かめる方法は,人間の可視光 (波長 380nm〜780nm) をカットした残りの光でボソ01 の♂と♀を見ることである。 可視光のカットは,三原色の透明フィルム/板を重ねたものが,この用途のフィルタになる。 可視光の残りの光は赤外線 (IR) と紫外線 (UV) だが,赤外線が表すのは温度。 紛れを除くために,赤外線は「IRカットフィルタ」でカットする。 そして,フィルタを透過した UV 像を,レンズが UV透過のデジカメで撮影する。 撮影画像は,UV 像がモノトーンの濃淡で見える。 これを Photoshop 等のソフトでレタッチ (コントラスト処理) する。 ハシボソガラスの目だと,この濃淡には色がついているはずだが,それは想像するしかない。 ──と,理屈はそうだが,この方法でいけるだろうか? 現状では,UV像の撮影 (以下「UV撮影」) は,つぎの組み合わせで行うことになる: 一般のカメラレンズは,IRカットフィルタを既にコーティングしている。 ( IR カットフィルタ) これは都合のよい点である。 しかし多くが, UVカットフィルタもコーティングしている。 よって,UV透過のレンズで適当なものが見つからねば,いま有る UV不透過のレンズを改造して UV透過レンズを自作することになる。 これで,いよいよカラスの UV撮影となるか? そうはならない。 紫外線は太陽光全体の 6% である。 そしてこれが,レンズおよびフィルタを透過するときに減る。 ( 紫外線透過・可視光カット) イメージセンサが受け取る UV像は,暗い。 よって,撮影は露光時間を長くとることが必要になる。 瞬間撮影をしようとすれば,UV照明灯とか UVフラッシュの導入ということになる。 しかし UV照明灯・UVフラッシュは,ボソ01 の UV撮影には使えない。 ボソ01 は,露光の時間が終わるのを動かずに待ってはくれない。 UV照明灯は,ボソ01 が嫌がりそうだし,目にも悪い。 UVフラッシュは,ボソ01 を驚かせてしまう。 驚かせてしまったら,もうカメラを向けられなくなるし,これまで構築してきた関係も損なわれてしまいそうである。 実際,ハシボソガラスとの関係構築は,慎重を要し,時間がかかる。 ボソ01 は,いまはカメラを向けても逃げられないまでになっているが,こうなるまでだいぶ時間がかかったのである。 では,ボソ01 の UV撮影は,どういうことになるのか? UV瞬間撮影が可能となる UV高感度カメラ (以下「UVカメラ」) の登場を,頼みとすることになる。 ──このカメラは,つぎの組み合わせになる: このグレードの UVカメラは,既に産業用に製品になっている。 しかし,個人向けの低価格のものは,まだ無い。 そして,個人向けの携帯タイプとなると,何台売れるかという話になって,商品としてありそうもない。 商品としてありそうなのは,"Raspberry Pi Camera Module" のような形のものである。 "Raspberry Pi Camera Module" は,イメージセンサーに SONY の CMOSセンサーを使っている── V2 では IIMX219,V3 では IMX708。 これが,SONY の UVイメージセンサー IMX487 のようなものに替わり,レンズが UVレンズに替われば,"Raspberry Pi UV Camera Module" となるわけである。 そしてこれを使ったボソ01 の撮影は,つぎの方法になる:
カメラの前にボソ01 を誘導し, 画像をキャプチャーする》
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