Up 耕作放棄は,日本の場合は地力回復に? 作成: 2023-12-12
更新: 2023-12-12


    商品経済の発展は,ひとが地方を捨て都市に向かうステージを迎える。
    日本では農業をするのが高齢者に偏り,今後耕作地が続々放棄される状況であるが,これはヨーロッパも同じである。

    ただし,放棄された耕作地の将来は,ヨーロッパと日本では違ってくる。
    ヨーロッパは,サバク化に進む。
    日本は,地方の耕作地であれば,周囲の草木が耕作放棄地に進出し,林,森へと変化していく。

    この違いを説明するのは,「カタストロフィ」の概念である。
    現前が定常であるとは,絶妙にバランスがとれているということである。
    このバランスが崩れると,一気に破局に向かう。
    現前は,平らではなく剣が峰なのである。


    ヨーロッパは,土壌劣化が著しく,既にサバク化スパイラルに入ってしまっている
    放棄された耕作地は,サバク化に進む。

    日本でも,都市から遠くない農地は,土壌劣化が進行している。
    実際,その農地の土は,堆肥等有機肥料を毎年大量に投入することで保っている。

    この意味で,地方で起こる耕作地放棄は,あながち悪いことではない。
    耕作で劣化した土地が地力を回復していくことになるからである。
    日本はそのうち食料に困って,地方にひとが戻ってくることになる。
    その前の一時的休養といったところである。
    (ただし,もとの自然植生に戻るとは限らない──戻らないと見ておくべき。)

      ひとが将来に備えようとすると,必ずトンチンカンなことをやってしまう。
      結局,切羽詰まってやることがだいたい正解,ということになる。