Up はじめに──本テクストについて 作成: 2010-12-20
更新: 2010-12-20


    本テクストは,『いろいろな数がつくられるしくみ』『「数とは何か?」への答え』に続くものです。

    『いろいろ‥‥』『「数とは‥‥』では,「数」の意味を押さえました。 数は,量表現・量計算のためにつくられるものであって,「量の比」の表現としてつくられます。
    そして本テクストで,量表現・量計算における数の使用がどのようであるかを押さえます。 数の使用を押さえるとは,これの論理/数学を押さえるということです。

    本テクストは,つぎの5章で構成されます:
      「量」の数学
      比例関係
      量計算

      幾何学的量

    「「量」の数学」の章では,特に,数学の「量」が形式であることを解説します。
    初学者にとっては,この内容が本テクストでいちばんが難しいものになるかも知れません。 この内容は,一度に理解しようとしなくてよい。 わからなくても一通り目を通しておくことが,ここで大事なことです。
    なぜなら,数学の「量」の意識が無いと,思いつきで「量」を語ることになるからです。 自分がいちばん正しい考えをしているような気になって,論争を始めるからです。 論争は悪いことではありませんが,問題はこれが<数学に無知/無関心>のレベルの論争だということです。 「量」の素人談義は,簡単にこうなってしまいます。

    「比例関係」と「量計算」の章は,比例関係および量計算の数学をきちんと示そうとするものです。
    初学者は,学校数学の「比例関係」と「量計算」を数学だと思ってきています。 よって,軽い「カルチャー・ショック」のようなものを受けるかも知れません。 しかし,数学に出会うとはこういうことです。 専門数学に入門する者が必ず通る道です。

    正負の数,複素数は,量に加え,「位 (位置)」を扱うものになります。 すなわち数が,位の表現,位の計算に用いられるものになります。
    このことを「位」の章で解説します。

    時間や重さは,数学の主題にはなりません。 数学の主題になる量は,幾何学的量です。 これを「幾何学的量」の章で,ごく簡単に扱います。
    「ごく簡単に」の意味は,「学校数学でのこの主題の内容を押さえる程度に」です。