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Prigogine & Stengers『混沌からの秩序』
p.177
増大するエントロピーは、[孤立]系の自発的な時間発展に対応している。
そして、エントロピーは、「時間発展の指針」、あるいはエディントンが適切に呼んだように「時の矢」となる。
すべての孤立系にとって、エントロピー増大の方向が未来への方向である。
宇宙全体よりも良い「孤立」系があるだろうか。
この考えが、1865年のクラウジウスによる二つの熱力学法則の宇宙論的な定式化の基礎となった。
宇宙のエネルギーは一定である。
宇宙のエントロピーは、最大値に向かって増大する。
孤立系のエントロピーが最大値へ向かって増大するという見解は、熱力学を生んだ工学的な問題をはるかに越えている。
増大するエントロピーは、もはや損失の同義語ではなく、今や、系内部の自然の過程を表している。
自然の過程とは、最終的にはエントロピー最大の状態である熱力学的「平衡」に、系を導く過程である。
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- 参考サイト
- 参考文献
- Prigogine, Ilya & Stengers, Isabelle : Order out of chaos ─ Man's new dialogue with Nature.
Bantam Books, 1984.
伏見康治・他[訳]『混沌からの秩序』, みすず書房, 1987.
- 都筑卓司 :『マクスウェルの悪魔──確率から物理学へ』, 講談社 (ブルーバックス), 1970.
- 高橋陽一郎:「無限を考える」in『複雑系の科学と現代思想 数学』, 青土社, 1998, pp.41-74.
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