Up コリオリ力が風を曲げるとは 作成: 2022-06-24
更新: 2022-10-13


    風は,なめらかに流れる (角々には流れない)。
    「なめらかに流れる」とは,「局所的に直進」ということである。

    局所的直進に対して作用する力が無ければ,風は直進することになる。
    特に,地表からどんどん離れることになる。
    風は,そうはならない。
    何が風を地表につなぎとめているか?
    重力と粘性である。

    地表につなぎとめられている風の局所的直進は,<地球の接平面上の局所的直進>である。
    この局所的直進を延長した直進軌道は,地球球体の大円になる。


    この大円軌道は,「直進を曲げられる」という話ではない。
    しかし,気象学にとってはそうではない。
    気象学はこれを「風が曲げられる」の話にして,「コリオリ力=みかけの力」論をつくるのである。

    人の<物を見る>は,<空間を平面に投影する>である。
    この見方で大円軌道を見ると,北半球では右曲がり,南半球では左曲がりになる。
    気象学はこれを,「風はコリオリ力によって,北半球では右に曲げられ,南半球では左に曲げられる」という話にする。


    気象学の謂う「コリオリ力」は,コリオリ力の別物化である。
    コリオリ力は,自転体の上の移動物体を大円軌道から外す力である。
    これは,「みかけの力」なんかではなく,リアルな力である。

    そして,自転球体上の移動は,「北半球では右に曲げられ,南半球では左に曲げられる」といったものではない。
    その移動はカオス力学の謂う「カオス」になり,どんな方向にも曲がっても不思議はない。


    さらに言えば,風の流れに対する遠心力/コリオリ力の影響は,実際は僅かである。
    風は,もっと大きな力によって翻弄される。