Up 「コリオリ力」とは 作成: 2022-09-16
更新: 2023-02-10


     
    平板が,面と垂直な直線Lを軸にして,自転している。
    私はこの平板の上で,直進移動する。
    この私は,私を倒そうとする力Fを受ける。
    私はFを相殺するために,Fの逆方向側に体を傾ける。

    どうしてこんなふうになるのか?

    私の移動は,回転速度の異なる所を渉る。
    慣性によって,私はこの回転速度の変化に後れる。
    こうして私は,私を倒す力を受ける。
    ──この力の方向は,移動の方向と速さに依存する。


    「私の遅れ」は,加速度に表現される。
    この加速度は,数学的に──解析幾何学を使って──定式化できる。

    この話は,3次元の自転体に延長される。
    特に,「自転球体上の直進にかかる加速度」に延長される。
    即ち,この加速度も,数学的に──解析幾何学を使って──定式化できる。


    「コリオリ力」は,力Fに与えた名前である──と,先ずは言っておく。
    「先ずは」と言うのは,Fだと,気象学が「コリオリ力」の意味とする「転向力──移動方向と直角に働く力」にはならないからである。

    実際,Fは,遠心力も含んだ総合力である。
    では,この総合力から「転向力」を切り出して,「コリオリ力」の名前を与えればよいか?
    しかし,数式の上では作為ができても,現実の力として切り出すことはできない。


    これが示すことは,「コリオリ力」は──少なくとも数学的には──擬似概念だということである。
    力Fのロジックを押さえていない者に対してこの語を使えば,定めしミスリーディングになる。
    この語は用いず,そのままに「移動にかかる力」の言い回しを用いることを,勧める。