Up 詭弁のつけが回ってくる形 作成: 2011-04-05
更新: 2011-04-05


    「自主退避を示され一旦避難した住民が,戻ってきて生活を再開した」という報道がされている。 戻ってきた理由には,ちゃんと論理がある:
      いまは,安全な数値になっている。
       1マイクロシーベルト台で,福島市よりも低い。

    政府・マスコミ・学者は,当初,放射線量の安全性を強調することをした。 このときの論法が,つぎの異種のものを比べてみせるというものである:
    1. 「マイクロシーベルト/時」が単位のモニタリングの数値
    2. 「ミリシーベルト」単位の大きさになる一回被曝の危険放射線量あるいは年間積算安全基準値
    すなわち,一回被曝の危険放射線量を,数千ミリシーベルトの大きさで語る。
    年間積算安全基準値を,数十から100ミリシーベルトの大きさで語る。
    そして,つぎのように言う:
      これに比べれば,数マイクロシーベルトや数十マイクロシーベルトなどは,てんではしたの量である。

    これは,<時間と放射線量の比例関係>と<放射線量>を比べるというトリックを使ったわけである。 そして,危険と考える向きを退けるために,「風評」のことばを使う。

    しかし,この詭弁は,《住人がこれを主体的に自ら使うようになる》という形で,つけが回ってくることになる。
    この主体的行動とその論理を阻むことのできる者は,いない。
    実際,この主体的行動とその論理を阻むことができるのは,詭弁を使った政府・マスコミ・学者からの「あの言い方はおかしかった」の言であるが,彼らは既に引っ込みがつかない格好に自分をしている。


    注意 : 「戻ってきて生活を再開」は,単純な是非の問題ではない。 政府・マスコミ・学者が使う詭弁を数学的立場から (単純に) 解くことと,「戻ってきて生活を再開」の合理・不合理を多面的に (複雑に) 解くことは,まったく別のことである。